ピアノ

ベートーベンの「月光」の魅力と弾き方

ベートーベンのピアノソナタ「月光」は、その美しさと情感あふれる旋律が多くの人々を魅了してきました。この曲を聴くだけで、心が落ち着き、安らぎを感じることができます。また、「月光」は初心者から上級者まで幅広いレベルのピアニストにとっても人気があり、演奏の機会も多い曲の一つです。そこで、今回は「月光」について、初心者にもわかりやすく解説していきます。まずは、この曲の基本的な情報から始め、なぜ初心者にも人気があるのか、そして実際に弾く際のポイントなどを紹介していきます。最後には、おすすめの演奏家やCDもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ベートーベンの「月光」とは、どんな曲?

ベートーベンのピアノソナタ「月光」は、全てのピアノ曲の中でも非常に有名な作品の一つです。正式名称は「ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27の2」といいます。

「月光」という愛称はベートーベン自身が命名したものではなく、出版された後につけられたものです。「月光」は3つの楽章で構成されており、それぞれで難易度が全く違います。

第1楽章は、演奏技術的にはとても容易な部類であり、誰でも時間をかけさえすれば弾けるようになります。その一方で第3楽章はとても難度が高いので、ピアノ初心者の方なら、最初から第3楽章は捨てて、第1楽章だけに集中して取り組むという選択もアリだと思います。第1楽章を練習してみて初めて実感できる事なのですが、曲全体が非常に緻密に作曲されていて、この曲の楽譜以外の音が一つでも入り込んだら全体が壊れるのではないかと思えるほど完璧な完成度が実現しています。ベートーベンが偉大な作曲家であるのは誰でも知っている事ですが、その裏付けを実感できるというだけでも、第1楽章を練習してみる価値があります。

第2楽章も、技術的にはさほど難しくありませんので、第1楽章をクリアしてから、第2楽章も練習するかどうか、検討すれば良いと思います。

第3楽章は、相当難度が高いので、腕に自信のある方限定で頑張れば良いと思います。私は最初から第1楽章だけマスターするつもりで練習し、数ヶ月がかりでなんとかクリアする事ができました。

当時、長くかわいがっていた猫が死んだのです。20年も生きてくれて、老衰だから仕方ないのですが、心に穴があいたような状態になってピアノどころではなくなってしまいました。そんな時、たまたま耳にした「月光」の第1楽章が、その猫の追悼曲のように感じたのです。「死んだ猫と自分を慰める為に練習する。」そのモチベーションで練習に集中する事ができ、予想したより短期で第1楽章をマスターする事ができました。

「月光」が初心者にも人気の理由とは?

「月光」という曲は、初心者にも人気がある理由がいくつかあります。

まず、その美しい旋律が魅力的であるという点が挙げられます。冒頭に演奏される静かで哀愁を感じさせるメロディーは、湖に映る月光がさざ波となって広がっていく様子をイメージさせるような美しい旋律です。この旋律には、悲しみや切なさを感じる人も多く、心に響くものがあります。

また、「月光」には情感豊かな表現力があるという点も、初心者に人気がある理由の一つです。曲中の様々な音色やリズムなどが、多様な感情を表現しています。これらの表現力を自分自身の演奏で実現していく事で、音楽の深みを味わうことができます。

さらに、「月光」は、ピアノ曲として比較的短い曲であるという点も初心者にとっては魅力的な要素です。このため、練習に集中して取り組むことができ、自分の演奏力を向上させることができます。第1楽章は特に難度が低く、ピアノ初心者で課題曲を探しているような方には強くお勧めできる1曲です。

練習を続けることで、少しずつ自分自身の演奏力が向上していくことを実感できます。そして「月光」を弾けるようになることで、音楽を通じての達成感を味わうことができます。
第1楽章だけでも、3楽章を通して弾けるようになっても、レベルは全然違いますが、素晴らしい達成感を得る事ができるでしょう。

初心者でも演奏可能なピアノ曲の中でも、「月光」は特に人気が高い曲の一つです。練習に時間をかけて、独力で「月光」を弾けるようになることを目指してみてはいかがでしょうか。

ベートーベンの「月光」お手本の聴き比べ

当サイトのイチオシ。

Beethoven Sonata # 14 "Moonlight" Op. 27 No. 2 Valentina Lisitsa

何人かのピアニストによる「月光」をご紹介するつもりでしたが、圧倒的にお勧めのピアニストを見つけましたので、この人の一択でお勧めです。そのピアニストの名はヴァレンティーナ・リシッツァ。ウクライナのキーウ出身。特に第3楽章が素晴らしい。

ついでと言っては何ですが、こちらも素晴らしいのでぜひどうぞ!

Chopin Ballade No.1, Op.23 G Minor Valentina Lisitsa

圧倒的なテクニックによって、バラードの新たな顔を見せてくれる一品です。

ベートーベンの「月光」、まとめ

「月光」は、ベートーベンが作曲した美しいピアノソナタの一つです。その情感あふれる旋律は多くの人々を魅了し、聴くだけでも心が落ち着き、安らぎを感じることができます。
初心者から上級者まで幅広いレベルのピアニストに人気があり、演奏される機会も多い曲の一つです。

最後に、イチオシの演奏家を紹介しました。他にもぜひ、自分に合った演奏を探して、より深く「月光」の世界に浸ってみてください。

「月光」は、聴くだけで癒される美しい曲ですが、自分で演奏すると、その魅力がさらに増します。この記事を参考に、初心者でも楽しみながら「月光」を演奏してみてください。